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密着!現場の1日 2026.08.21

製品が世に出る、その直前を担う。東日本製鉄所 君津地区の梱包現場

“最後の砦”を守り抜く技能

東京湾に面した京葉臨海工業地帯に位置する東日本製鉄所 君津地区では、日々、多くの薄板コイルが生産され、国内外へと届けられています。その出荷の最終工程を担っているのが、日鉄物流 東日本支店 君津地区 薄板生産部 冷延めっき生産課です。

確かな技能を受け継ぐ課員たちが、コイルの検査から梱包までを一貫して担い、ときには自動化や遠隔操作といった新たな技術にも挑みながら、「一つの品質異常も見逃さない」を実現しています。

本記事では、君津地区における薄板コイル出荷の現場をご紹介します。

製品を社会へ送り出す現場

東日本製鉄所 君津地区は、千葉県の房総半島中央部に位置し、東京ドーム約220個分にあたる広大な敷地を有し、薄板、厚板、線材など、社会を支える多様な鋼材を生産しています。

冷延めっき生産課は、総勢223名、平均勤続年数18年と、若手からベテランまでが幅広く活躍する組織です。「冷延生産係」「冷延クレーン・精整係」「表面処理生産係」「表面処理クレーン係」などが持ち場を分担し、君津地区の各工場で精整された薄板コイルの受入れや梱包、出荷に伴うクレーン運搬、資材製造までを担っています。コイルを梱包するラインは5基あり、国内向けは紙梱包、輸出向けは金属梱包と、用途に応じた対応を行っています。この現場を経て、コイルは国内外のお客様のもとへ届けられていくのです。

「不良品を次工程へ流さない」を貫く、精整ラインの検査

梱包の前に、特に品質に厳しい一部のコイルは精整ラインを通ります。ここが、品質を見極める“最後の砦”です。この先の工程で、コイルの状態が改められることはありません。傷や汚れの有無を目視と機械の両面から確認し、巻き幅のずれや反り、波打ち、ヨレなどが定められた基準を満たしているかを厳しく点検します。必要に応じて電動計測器で長さや厚みを測り、コイルからサンプルを採取することもあります。

万が一、基準を満たさないコイルがそのまま後工程へ渡れば、その先の製造ラインにまで影響が及びかねません。そのため不適合品は確実に保留し、次工程へ流さないよう徹底しています。更に、確認基準の理解度を確かめるテストを毎月1回実施しています。判断の拠りどころとなる知識を維持し続けることが、品質と信頼の向上につながっているのです。

検査を終えたコイルは、一度伸ばした状態から再び巻き取られます。裏面に傷がないかを確認しながら、芯のずれや滑りに注意を払い、微調整を重ねてきれいに巻き上げていく。1交代で扱う量は200〜300tにのぼり、根気を要する作業です。

数百種類の仕様に応える、梱包の技能

国内向けコイルの紙梱包と輸出向けコイルの金属梱包を連動させた7CPLで求められることは、出荷先ごとに決められた、梱包様式の通りに仕上げる事です。梱包様式は出荷先ごとに数百種類に及び、梱包のズレやしわ、結束の緩みがないかを細部まで確認し、1日に約360本のコイルを梱包しています。コイルの大きさに応じた資材の選定までを現場で見極めます。

かつては都度冊子で仕様を照合していましたが、モニターに画像データを表示できるようになり、作業効率と精度が向上しました。また、国内向けの紙梱包を担う4CPLでも、作業手順書に沿った丁寧な作業が積み重ねられています。

負担軽減から生まれた、自動化と遠隔操作への挑戦

7CPLでは2021年から自動化プロジェクトが進められてきました。タブレット操作や新型ロボットの操縦など、それまでとは大きく異なる技能の習熟が欠かせませんでしたが、重量物作業の負担を軽減したいというみんなの思いが、取り組みを前へ進めました。工業ロボットの導入により、切創リスクの高い作業の安全性も高まっています。また、当て金の装着やIDチェック、ラベル貼付、最終検査へと、将来的には自動化の範囲を広げていく予定です。

表面処理クレーン係では2025年10月より、クレーンの遠隔操作を開始しました。全国の日本製鉄の工場の中では初めての取り組みで、毎月のように各地区から技術スタッフが視察に訪れています。倉庫へ出向くことなく室内から操作できるため、現場の安全性向上にもつながっています。

重量物と向き合う現場の、安全への備え

コイルという重量物を扱う現場では、基本操作の徹底が安全に直結します。万が一の見落としが大きな事故につながりかねないためです。そのため交代時には必ずミーティングを行い、始業準備と安全確認、品質・安全情報の引き継ぎに加え、一人ひとりの体調チェックも欠かしません。

また、装備の面でも工夫を重ねています。切創災害を防ぐため、切れにくいケブラー素材の作業着を活用。設備の自動化と装備の見直しを重ねることで、課員が安心して働ける環境を整えてきました。

品質を守り続ける最後の砦として

製鉄所から梱包業務を請け負ってから、50年以上が経ちました。先輩方が築き上げてきた安全と品質への思いは、「やるべきことの徹底」という合言葉と共に受け継がれています。こうした日々の積み重ねこそが、日本製鉄(株)からの信頼を支える基盤となっているのです。

君津地区で生産された薄板コイルは、この現場を通って社会へと送り出されていきます。その一本一本に向き合っているのが、冷延めっき生産課の課員たちです。製品に触れる最終の工程として決められた作業を確実にやり切ることが、「一つの品質異常も見逃さない」を実現しています。